「なぜ」と「どうすればいい」を伝えてください
- 2017.06.19 Monday
- 23:11
にじいろ先生からコメントをいただきました。今、あちこちでお話ししていることで、近いうちにNPOサイトの「コミュニケーションに関するトピックス」にも書きますが、まずは、コメントをいただいたので…。私のお答えは、いただいたコメントの下に書きます。
----にじいろ先生のコメント----
私は、まだ保育士になって三ヶ月しかたってないので、先生がお話しされた一年目とベテランの先生のお話を聞いた時に、とても心が楽になりました。いつも担任の先生やパートの先生に注意されても、「なぜ?」と思うことがたくさんあり、今一番のなやみでした。担任の先生やパートの先生にどうしてだめなのかを聞いても答えてくれない時が多いので、先生の本を参考にしたいとおもいます。そして自分が先輩になった時には、どうしてだめなのかを実践して伝えてあげたいと思います。また、機会があれば先生のお話、聞きたいと思います。
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にじいろ先生、ありがとうございます。保育について「そうじゃないよ」と言われたら、「ごめんなさい、わからないので、どうすればいいのか教えてください」と明るく、やわらかく伝えてください。暗く、平坦な言い方ではなく、明るく、やわらかく。そして、「こうだよ」と教えてもらったら、あるいはやってみせてもらえたら、「ありがとうございます、やってみます!」です。一度でできなくて当たり前。「先生、試してみたんですけど、先生みたいにうまくいきません…」と尋ねてましょう。「お願いします」と「ありがとうございます」がしっかり言えていれば、人は教えてくれるものです。
さて。保育というのは、知識と技術も必要ですが、「からだでできるようになっていくこと」がずいぶんと多いので(それ自体が保育の楽しさ、すばらしさ、難しさだと思います)、他人の保育を見ていて「そうじゃないよ」と思っても、「なぜ」「どうすれば」が言えないことも多いのです。
でも、人間は「ダメ」「違うよ」「なんでできないの!」では、絶対に育ちません。特に今のような保育状況(子ども、保護者、保育士すべてが、たとえば10年前と比べても違います。30年前と比べたら大違い)では、以前のように学びに時間をかけていられません。ただでさえ、保育現場はあわただしくなっています。ですから、先輩の皆さん(先輩とは、「年齢がひとつ上」でも先輩です。この文化は年齢文化なので、正規・非正規よりも年齢のほうが勝ちがちです)、「ダメ」「違うよ」「なんでできないの!」だけではなく、「なぜ違うのか」「どうしてみたらいいのか」を伝えてください。
でも、ここでまた保育の楽しさ、すばらしさ、難しさが登場します。「できるけど、説明できない」という保育士さんもいるのです。でも! 保育には「やってみせる」という強みがあります。「ダメ」「違う」と言える以上、あなた(先輩)は「できるはず」、だから、「なぜ」「どうすれば」を口で言えなくても、「こうするんだよ、見ててね」「ほら、ここをこうしてごらん」と、行動で見せてください。それでいいのです。自分ではうまく抱っこできなかった赤ちゃんを、先輩がそっと抱っこするのを見たら、後輩は「すごいなあ」と思うでしょう。それが保育の引き出しの増やし方のひとつです。
ただしここでひとつ…。教えた側は、自分が言った通りに後輩ができていなくても、「なんで私が言ったみたいにできないの!」「どうして教えた通りにできないの!」は言ってはダメです。これは明後日出る新刊にも書きましたが、保育は「個人の性格の上に引き出しが増えていく、芸術的な職人芸」、つまり、あなたに合う引き出しが他の先生全員に合うわけではないのです。A先生の方法からこの部分、B先生の方法からこの部分…、自分に合った、自分の目の前の子どもに合った引き出しを増やしていくのが保育だと私は思います。
いかがでしょうか? この話題の周辺にあることは、明後日出る新刊をお読み(ご覧)くださいませ (^^)
かけふだ