1)看護師の方から何人もお尋ねをいただきました。保育の先生方、栄養士/調理師さんとの安全に関する考え方、予防意識、行動のギャップ、コロナをめぐる運営側とのギャップ(予防に不必要なことまで「しろ」と言われる)を、皆さん、おっしゃっています。「不満ばかりなら辞めればいい」と言われた方もいらっしゃいます。
この質問ブログにも何回も書いていますし、Facebookページにすら書いたことがあると思いますが、看護師さんで「この職場は無理」とお思いになるなら、お辞めください。転職する先はいくらでもあります。就職する時に、「この園の、安全や健康に関する考え方は?」「看護師の意見を聞く風土はあるか?」と聞けばいいのです。はっきり言って、皆さんの専門性がもったいないです。もちろん、自治体/法人/企業に看護師が複数いて、その間で連携がとれるなら変えようがあるかもしれませんが。病院だって、たった一人の行動で変えることはできないですよね。園はもっと無理です。
看護師が「一人職場」の中で、それでも発言しているのに、それを軽んじる園は、当然、深刻事象が起こるリスクも上がります。なのに、何か起きれば、「ナース!」「看護師!」と呼ばれるのです(どうして「〇〇先生」と呼ばないの?といつも思います)。そして、責任も…。
特に今は、コロナというクライシス(危機)時です。組織の本質は、こういうクライシス下ではっきりします。要するに、ボロが出るわけです。危機時に我を失うような対応をする運営者(組織)は、どうにもなりません。コロナのクライシスを乗り切れるかどうかもわかりません。少なくとも、「いつでも辞めてやるっ」ぐらいな気持ちで働いてください。「辞めてもいいのに、どうして辞めないのか」、そこはご自身の心に聞いてみてくださいね。「子どもたちを守りたい」「わかっている先生たちを守りたい」…、それはわかります。でも、看護師さんたち、あなた自身の心を守れないなら、他人の心なんて守れないんですよ(今、まさにFacebookページで叫んでいることですが)。先生たちがみんなでつらいなら、みんなで辞めればいい。いや、コロナのもとでは、結局、そういうことになるでしょう。離職がどれだけ増えることか。
2)Y先生から、コロナに関する幼稚園の対応についてお尋ねいただきました。申し訳ありません。こちらでは即時対応ができません…。なにかありましたら、Facebookページに要約してコメントしてくださいませ。そうすればすぐにお答えします。お許しください。
一昨日だったか、PCR検査時/陽性時の対応をまとめました。自治体や教育委員会が「こうだ」と言ってきたら、「こう」でいいんです。保護者に何を言われても、すべて「自治体、教育委員会が言っているから」で済ませられますから。結果的に感染者が出るかどうかなんてことは、考えていません。自治体も教育委員会も自分たちの責任を逃れることしか考えていないのに、園が自分たちで考えて、結局、責任を負わされるのでは、どうしようもないですよね。
3)すう先生から、下痢についてお尋ねです。ごめんなさい、私にはなんとも回答できないので、並木先生にお尋ねして、回答が来次第、こちらに載せます。他園の先生たちがどうしているかは、今、このコロナ状況下ではちょっと無理かなと…。
10月、個人向け研修会で並木先生に「感染症対応」をお話しいただくので、そちらにおいでいただけると、直接聞いていただけるとも思います。
4)Ns.さん、「厳重警戒」(気温でだいたい30度)で熱中症が急増するというウェザーニュースの記事をFacebookページに載せました。あれでもまだダメでしょうか?
あとは、「これでも外へ出すなら、出してください。でも、私は看護師として責任は取れません」とはっきり言うことです。
]]>
1か月半以上、留守にしてしまってごめんなさい。2月末から、仕事が全キャンセル、3月下旬にFacebookページ開設、5月に入って、「もうこれはどうしようもない」とリモート研修会を始め…。やっとリズムができてきました。リズムといっても、今まではひたすら外出していたのが、今はひたすら家にいるだけですが・笑。でも、生活リズムは180度変わってしまったので、まだなかなか…です。
皆さま、Facebookページを読んでくださっているのだと思いますけれども、確かにあちらには書けないこともありますし、こっちも定期的に見るようにします! ごめんなさい。
m先生、「除菌」の件は…、はい…一応、文部科学省の「噴霧禁止」とNITEの「次亜塩素酸水に対コロナ効果は認められない」で落ち着いたと思います。業界団体は反論しているようなので、今後どうなるかはわかりませんが。厚労省が「次亜塩素酸水はコロナに有効」と? いやいや…。NITEの結果を読んでないんでしょうかね…(ため息)。
ちょも先生、感染者がこの間、まったく出ていない地域はほぼ通常開所だったようですが、そうではない大部分の地域は、6月が新学期になってしまいました。こればかりはどうしようもないですね…。結局、世界で日本だけがシステムとして保育園を開所し続け、まあ、経済はそれなりに維持できたかもしれませんが、園の先生たちの精神的犠牲は…。文科省の指針も現実性がありませんし、「園ごとにやってね」で終わりになっています。このまま、だらだらなし崩し的に進むだけだと思います。先日の横浜の事例のように「消毒したらすぐ開所」と言う自治体は増えるのでしょうし、言われた通り、開所してしまう園も出てくると思います。とことん、「子どもや職員の命より、経済(=保護者)」なのだなと。
よう先生、幼稚園は保育園と文化が違っておりまして…。もちろん、「頑張る!」な保育園もあるんですけど、やっぱり未満児さんがいると無理は無理なんですよね。幼稚園はある程度、子どもも頑張ってしまうから…。あとはどうしても「小学校の前」という意識が強いのでしょうか、「子どもが〜できるように」が大きいのかなあと。とはいえ、私のまわりにも幼稚園の園長先生はいらして、コロナ以前から「無理をしない」方向へ変わっている方はいるのですが…。先生、Facebookページのコメントの返事でも時々書いていますが、つらかったら転職していいんですよ。今日の配信でも言いましたが、今のような「危機」の時には、人間の本質的な部分が見えてきます。その中で「ああ、これはダメだ」と思ったら、そこで「頑張る」ことをやめるのも一つの方法です、ほんとに。いまどきは「コロナについてどういう対応をしていますか?」と面接で聞くこともできますし…。なにより、「そうか。辞めるという手もあるんだ」とわかって、気持ち(感情)を少し切り離して仕事をするだけでも楽だと思います。
みつ先生、搬送や受診が難しくなることを考えたら、去年や一昨年以上に熱中症予防をする。それと同じで、ケガを物理的に減らす手立てを考える必要もあるのかもしれません。たとえば、高い所へ登れば、落ちた時のケガはひどくなる確率が高いわけですから、熱中症がおさまるまでは跳び箱をやめるとか…(熱中症がおさまれば、とりあえず搬送状態は少し改善されるでしょうから)。あとは、どこかで言った/書いたような気がするのですけど、どこだか忘れました…けど、保護者に「熱中症の時期であり、新型コロナウイルス感染症の流行も続いていますから、受診自体、ご心配かと思います。ですので、すり傷、切り傷程度のケガの場合、これまではすぐに受診していましたものにつきましても、保護者の方のご判断をいただきます」と言っておくのは大事だと思います。つまり、救急車を呼ぶようなケガ(重傷、頭やおなかを打った、など)以外は、保護者の判断にするということかなと。
はなまる先生、私は子どもの心理はわからないので、子どものストレスについてはなんとも…。アロマを虫よけとして吹き付ける件ですが、保護者がそれでいいと言うならよいと思います。他のスプレーも結局、吹き付けていますし、空気中に「噴霧」しているわけではありませんから(それを言ったら、他にアルコールを吹き付けるのもダメという話になってしまい…。もちろん、顔を直撃しないようにアルコールは手に付けるべきなんですが…)。ただ、「アロマ=安全」というのは間違いです。アロマも化学物質ですからアレルギーを起こす人はいます。においで頭痛等を起こす人もいます。そのあたりは、こちらの2018年6月4日「虫忌避(虫よけ)剤について」をお読みくださいませ〜。お手紙のひな型も置いてあります。
]]>ーーー
気になることがありまして、お聞きします。
皆さんの保育園では、スタイをしている子の午睡時は、スタイは外しますか?それともそのまま着けていますか?私は、今までの保育園や子育てのときも必ず外していたのですが。今の保育園ではそのまま着けて寝ています。
(お答えです)
はずしてください。
あ)眠っているのですから、スタイは姿勢としても必要がありませんよね…。
い)子どもの首まわりにヒモ状のものがある、子どもの顔まわりに布状のものがあるのは危険ですし、眠っている時は特に、です!
2)Fスマイル先生、マスクについてですが…。このように考えて、お伝えになってはいかがでしょうか。世界的にははっきりしていることです。
あ)自分の感染リスクを下げるというマスクの効果では定かではない。保育園でおとなが自分の感染リスクを下げるのであれば、マスク以上に「手を洗わない状態で、目、鼻、口にさわらない」が重要。ウイルスが手について、その手で粘膜に触れ、感染することが多々あるので。
い)でも、いまや誰が感染しているのかわからない以上、他人に感染させないという点では重要。ウイルスは呼気に含まれ、くしゃみでも咳でも飛ぶ。その飛沫があちこちに付着し、そこから接触するので。
う)上の「い」を考えれば、保育者がマスクをするのは大事。でも、だからといって今、マスクが売られておらず、あってもむちゃくちゃ高いということを考えれば、「しない」という選択もありえる。
え)手作りマスクじゃなくても、三角に折ったバンダナでもなんでもいいんです。英語では「顔を覆うもの face covering」と言っています。鼻と口を覆うことで、飛沫が飛ぶことを抑えられればいいので。ただ、はずしたら取り換えるとか、はずした手であちこちさわらないとか、それはマスクと同じです。
いかがでしょう?
3)横浜のKK先生、むっちゃ腹立ってます! 認可外も認可と同じように預かれ、でも、補助金の保障はしない? いいかげんにしろっ!!です。連休中の配信でまた叫びます!
掛札
]]>
「連休明けも、国、自治体の自粛要請が続くと予想されます。安全のため、保護者の皆さまも、引き続き、自粛にご協力くださいますようお願い申し上げます。」
なぜ、ダメか。これは園からの一方的なお願い文なので、「押しつけられた感」を相手に生じさせます。センターの安全のトピックス、災害のところに書いた話と共通します。
長年の社会心理学の研究からわかっていることは、人間、選択肢がないと、「自分で選べないから」怒るのです(※)。内容以前に、「選べない」ということに怒る。だから、選択肢を渡して選ばせることが第一です。自治体が明確に「休園」と言っていて、「自治体がそう言っていますから」と自治体(=園以外の他人)の責任にできないのであれば、園が押しつけずに選ばせる。「自粛要請」程度では、他人(国、自治体)の責任にできません。「うちは大変なんだから、預かって」と言われます。そして、選択肢がないから、怒ります。
★次のタイプの内容をお勧めします。
「ニュース等で皆さまもご存知の通り、連休後には、再び感染者数の増加が起こる恐れがあると言われています。園では、職員ができる限り自宅で過ごすよう伝えておりますし、保護者の皆さまにも下のNHKの記事にあるような「専門家会議」のアドバイスを心に留めていただきたく存じます。
しかしながら、ウイルスが目に見えず、感染リスクをゼロにすることはできない以上、連休後、園や近隣、皆さまの職場等で感染が起こる可能性はゼロではありません。その点をお考えいただき、連休直後およびその後の登園について、国や自治体の自粛要請等とは無関係にご配慮いただければ幸いです。」
(←最後のところ、「ご配慮くださいますようお願いします」と書いてはいけません! その「お願いします」が押しつけ感を生じさせるのです。「幸いです」と「お願いします」のニュアンスの違い、かみしめてください。)
(で、このNHKの記事などを印刷して付ける、添付するなどする)
はい、おわかりの通り、「情報を渡して、考えさせ、選ばせる」文章にしてあります。「連休後に感染者が増えるかもしれず、その原因はあなたの家庭やあなたの会社にもあるかもしれない。だから、あなたの責任で考えようね」ということです。
人間は自分で選んだことには、それなりの責任を持ちます。一方、こちらとしては、「リスクを伝えたよ。それでも連休明け、全員が登園したら、それは登園した人たちにも責任があるからね」と言えるわけです。全員登園は、もちろん想定内です。
事態が長期化する以上、保護者にはなるべく押しつけず、ゆるめに感じられる「情報を渡して選ばせる戦略」をお勧めします。「押しつけられた感」が大きくなればなるほど、保護者の精神的バランスは崩れやすくなり、結果、その矛先が園に向いたり、子どもに向いたりしかねませんから。
※研修会で時々、掛札が言う言葉:「人間は、2歳以降はイヤイヤ期」。イヤイヤ期の時だけが「選択したい時期」ではありません。人間は2歳以降はずっと、「自分で選びたい生き物」なのです。社会心理学がこの分野の初期から明らかにしてきた通り。
ところが、日本の主流文化の中で育つと、この文化には「よかれ」というものがあるために、人から行動を押しつけられ、選択肢を奪われても、「私のためによかれと思ってしてくれているのだから」と、選択肢を奪われたことに怒らないような認識の変容を起こすようになります。ですが、この「よかれ」、理解できる文化は世界じゅうでも少数です。世界で生きていく子どもを育てるなら、「よかれ」なんて無用です。「私はこうしたい」「僕はこれを選ぶ」、そうはっきり言える子どもを育てるほうが、いまや重要でしょう。
]]>
緊急事態宣言が出る直前、(正確には午前中)市から急に園の自粛要請についての連絡がありました。やっと来た!と少しほっとしました。翌日は週末の金曜でしたが約3分の1の子どもが自粛により休む事態となりました。ですが私たちが休める予定は全くなく、(陽性者も濃厚接触者もいないので年休を使うことになります)土曜日に予定していた行事がなくなり子どもが一人も来なかった日には全員出勤して掃除する始末です。ほんとうにがっかりしてます。
ーーー
タラコ先生、考え方はいくつかあります。どれが正解というわけでもなく、混ぜていく必要があります。
1)Facebookページで19日に配信した中で触れていると思いますが、ある意味、出勤しているほうが気が楽という部分はあります。「家にいると不安」という職員の方はいますから。
2)でも、家に家族(特に、休校中の子どもやデイ・サービスに行けない高齢者の方)がいる時には、家にいたいと思います。その場合、子どもがいないのに全員出勤で、休む人は有給休暇を使う必要があるのか。これは疑問です。園長にはっきり言って、それで「有給休暇をとれ」と言われたら、「え、でも、別の園では自宅待機/在宅勤務ということになっていますけど」と言ってみましょう(←よくわかっている人に確認済)。
3)「自宅待機しててもいいけど、給料を減らす」と言われたら、Facebookページの4月22日午前9時26分投稿の記事の中、『東洋経済』の記事に関連して書いている通りです。先生の園が認可保育園なら、給料分の委託費は100%支払われていますから給料減はダメ!です。でも、そこらへんの裁量はすべて、園長です。ですから、「この園長、ダメだわ」と思ったら、今回、まともな対応をしている園に移りましょう(本気です)。新型コロナウイルス感染症問題はまだまだ続きますから。
あ、そうか。園長先生はおそらく、この問題が連休明けには終わると思っていらっしゃるのだと思います。終わりません。そうなれば状況は変わります。変わらなかったら(=これからもずっと全員出勤とか言うなら)、それはもう…です。今の状況は、園のリーダーシップの質がものすごく問われていると同時に、その質が丸裸になっている状況とも言えます。見きわめましょう! この件は別の所でもけっこう大きな問題になりつつあるので、4月26日、Facebookページで配信します。
]]>
あ、保育園Ns先生、hiyoko先生が「アルコール濃度」の件を書いてくださっています(文中)。そういうことかしら?
ーーー
〔N先生から(一部のみ抜粋です)〕
しんどいです。
でも泣けません。
泣けたら楽なのになぁ。
★
N先生、無理して泣かなくてもいいんです。「しんどいから泣く」じゃなくていいんです。大好きな映画を観る、大好きな本や絵本を「ここが好き!」っていう場所で一人で読む/見る、あるいは、大好きな歌を大きな声で歌う(カラオケボックスでも、園にホールがあるなら超早く行って誰もいない間にとか、それこそシャワー中でも)とか。スポーツがお好きならそれを20分でも30分でもする。なんでもいいんですよ〜。つまり、「自分の心から離れて、別の所にいる時間をつくってみる」です。一人で。他の人がいると、その人のことを気遣ってしまうから。
ーーー
〔hiyoko先生から〕
保育園Ns先生のご質問の件ですが、アルコール濃度ではなく「医薬品」または「医薬部外品」でなければ「消毒」と明記できないと思っていましたが、いかがでしょうか。
コロナ対応について園長との温度差に限界がきていました。こんな時期ですが、3日に退職覚悟で園長に噛みつきました。緊急事態宣言が発出されることを受けて、やっと一昨日、濃厚接触は避けられないというお手紙を出しました。やっと昨日、登園自粛をとお伝えしました。やっと今日、職員体制の変更と登園時の対応変更をお知らせしました。
保育所の感染リスクや対応がこうなるかもしれないというお手紙を、2月末から出したほうがいいとずーっと言っていましたが、却下されていた挙句、この3日間で全部やりました。
★
hiyoko先生、すばらしい! もうね、「誰かが指示してくれるだろう」「誰かが守ってくれるだろう」という護送船団方式は破綻するんです。園は自分たちで守るしかない。最悪を想定しておいて、最悪にならなかったら、「よかったですね、最悪にならなくて。皆さんのおかげで最悪を免れました」と言えばよいのですから。これは台風対応でも同じ。最悪にならないだろうから何もしない、それで最悪になったら目も当てられないですよね。
ーーー
〔S先生から〕
明日の幼稚園部の入園式は規模を縮小して行うことを決め、それ以降は1号認定の子どもたちは自由登園にする予定にしていました。しかしながら、緊急事態宣言が出されるなど、状況が変わる中、感染者の少ない当市で、休園する勇気もなく、どうしたものか悩んでいます。
3月に自由登園にした際は、ほとんどが登園して来て、人数が減りませんでした。2号、3号の登園を断れない中、1号を完全に休園にするべきでしょうか。登園する園児数をクラスごとなどに絞って、給食なしで、午前の部、午後の部で行うことを考えています。
1号を完全に休園して家庭で過ごすと、親子ともにストレスになり、いいことではないと思うので、人数を絞って保育、にしようと思います。
1号の子どもたちに関しては、休園にしている園が私のまわりには多いです。幼稚園さんは休園ですし。
★
結局、園として何を守りたいか、だと思います。命なのか、保護者の仕事なのか。すでにセンターのFacebookページでもお話しした通り、確かに家に保護者と子どもでずっといるのは、ストレスが増えるでしょうし、虐待やネグレクトにもつながるかもしれません。でも、「だから、園が預からなければ」なのでしょうか。いずれにしても、当分、私たちはこの状況とつきあわなければならないのですから、虐待やネグレクトは園ではなく、自治体が(本来すべきだったように)扱うべきで、「そうしてください」と今から言っていくべきだと思うのですが…。抱え込みをやめるべき時なのです。
ーーー
〔H先生から〕
4月、運営の本部から緊急調査という名目で指示がきました。「ロックダウンになっても、出勤できる職員は?」と。保育所はロツクダウンでも、出勤する必要がある職種(自宅待機の仕事の保護者能ため)との説明付きでした。今までなんとか出来る限りの出勤をして子どもたちの保育にあたりましたが。とてつもなくブルーな気分になっております。保育園従事者は、最後の被害者になる可能性、その覚悟を持たないといけないのかなと、残念です。先生どう思われますか。
★
「出勤する必要がある職種」じゃないですよ。特措法では、学校とかと並んで、「使用の制限等の妖精の対象となる施設」です。それは、本部さんの読み違いか思い込みでしょう(ま、そう言ってくるのは、わかりますが。要するに、施設都合で休園ということにしたくないだけなのでしょう)。
Facebookページでお伝えしている通り、先生がおっしゃっている通り、保育従事者は最後の被害者扱いだし、保育園にいる子どもは、児童・生徒と違って命を守られるべき存在とはみなされていないようです。保護者が仕事を続けるほうが大事ということが、今回、はっきり露呈したと思います。
だからこそ、「保育園は濃厚接触ですよ。おいでになるなら、それをわかって来てくださいね」と、覚悟と責任を保護者に半分、手渡すべきです。本来は保護者が勤務先(役場であれ企業であれ)とすべき話を、保育園が肩代わりさせられているのです…。
まず、保育園Ns先生からのお尋ねです。
ーーー
消毒用エタノールが手に入らないため、食品添加物?に分類されている、調理用のアルコール除菌製剤を使っています。アルコール濃度は50~70%で2種類、濃い方は環境消毒と調理器具に使用、濃度が低い方はアルコール手洗い用です。これまでアルコール濃度からしても問題ないだろうと思っていましたが、商品に消毒ではなく「除菌」と書かれているので、掛札先生の記事を見て心配になってきています。
(お答え)
60%以上、70%以上なら「消毒」のはずなのですが、「除菌」と書いてあるのはおかしいですね…。厚生労働省の基準に合っているなら「消毒」と表示するはずです…。そう思って謎??だったので、リング上の時もはっきりはお答えしなかったのです。何%なのでしょう?
もうひとつ、花先生からのお尋ねです。
ーーー
ライブ配信拝見しました。笑いあり、分かりやすい内容で、とても参考になります。
コロナ対策(感染対策)で、どうしても気になることがあり、質問させてください。
WHOはマスクに予防効果がないと言い、症状のある人がマスクをつけることが効果のある予防だと厚生省のリーフレットにものっていました。
新年度、新入園児(ほとんどが0歳)で、保育士が予防のためとはいえ、長期化しそうなコロナで、ずっとマスク着用するのはどうなのでしょうか? 信頼関係や、安心感、成長発達に大きく影響が出るのではと感じています。飛沫は目からも感染し、ウイルスはマスクの繊維を通すとききました。現在、私が住んでいる地域で流行の拡大はみられていません。まわりの保育園では、職員だけでなく、保護者にもマスク着用を求めているそうで、マスクが購入できない中、同じマスクを使い回して対応しているなど、色々な意見がきかれます。その辺のライブなどもしていただけるなら、ありがたいです。
(お答え)
顔の下半分が見えない状態で0歳児に接するのは、確かに…です。
先日もWHOは、「症状がないならマスクをするな」と言いました。
(昨日の米国CNNのニュースです)
https://edition.cnn.com/2020/03/30/world/coronavirus-who-masks-recommendation-trnd/index.html
無症状の人でもウイルスを出しているという点を考えれば、マスクはするべき…なのかもしれませんが、それはそもそも「飛沫が飛ぶ」状況の話です。さて保育園は…、換気が1時間に1回とかできれば「密閉」ではないし、「密集」でもないし、まあ、抱っことかはあるから「密接」ではありますが、それを言ったら保育はできませんし、そもそも学校を休みにする前に、保育園を閉めて「不要不急の仕事のおとなは家に」というのが正しいじゃないかと(欧米の封鎖はすべてこれです)。
保育園が密閉・密集はなんとかできても(←なんとかできない園もあります)、「密接」はどうにもならない以上、じゃあ、まったく無症状の職員でもマスクはするべきなのか…。うーん、正直、悩みます。「マスクをしていなかったから、子どもが感染したんだ!」と後で言われるリスクを考えたら、今の状況がおさまるまで最低数か月は、しょうがない、マスクをするという方法もあるでしょう。
ただし、マスクの再利用はダメです。それなら布製のものにして洗う…。布製のマスクはダメだという説も流れていますが、それは医療用サージカル・マスクと比べてですから。もちろん、もともとウイルスはマスクを通ります。でも、マスクをしていれば飛沫は飛びません。まあ、そういう意味では、もともとマスクをしない欧米で言われているように、咳やくしゃみをする時は腕で隠す(手のひらはダメ。あちこち触るから)でいいのではないかと。
マスク問題は難しいですが、私個人の考え方としては、保護者も保育者も仕事に行かなければならない状況を国が作ってしまっている以上、園で感染・発症が起きるのは、正直、園の責任ではありません。そう開き直るべきです。ですから、最初の頃から言っている通り、自治体に「マスクはありません」、そして、「布製マスクを作っているヒマなどありません」「マスクをしたって何をしたって、保育園は濃厚接触です」と言い続けてください。濃厚接触の件は、掲示を作りますわ…。
いかがでしょ?
]]>
ですので、感染症や新年度の安全に向けて、ご質問がおありでしたら、こちらか、センターのFacebookに書き込んでください。こちらはいつも通り、外から見えない「非公開」となります。ただし、誰でも見ることのできるオンライン研修会でお答えできるような内容にのみ、お答えします。
掛札
]]>
もうひとつ、作業上の事情により、しばらくこの質問ブログをストップします。掛札の希望としては年度末の3月半ば以降には再開したいと思っています。ご了承ください。こちらのリンクを切ってしまうわけではありませんので、過去の記事はお読みいただけます。
★(kana先生の質問というか、つぶやきは掲載していません。)
kana先生、遅く、遅く、遅くなってしまってごめんなさい。
管理職の高齢化の問題は…けっこう聞きます。「自分は引退する」という決断すら自分ではできない状態になった場合にどうするのか、大きな大きな問題です。それ以前に、日々の保護者対応や電話対応なども。
一方で、世代交代もね…。実行力と実験をもてない(もたない)「おかざり園長」、「園長」という肩書と給料以外には(保育も含め)興味のない人、世代交代で戻ってきて職員と闘っている人…。
「子どもを預かっておく所がないとね」という気持ちで、認可も何もない時代に始めた初代の時代とはまるで社会が変わってしまった以上、「昔はこうだったんだから」ではどうにもならないのですけどね…。かといって、保育がお金のやりとりの上に(のみ)成り立つビジネスになってしまう(しまいつつある)のもおかしい…。
★はまゆげ先生、
(まず、11月12日の投稿に対して、はまゆげ先生のコメント)
この事例での「不適切な保育」に対する「適切な保育」とはどんなものなんでしょうね?
…よく耳にする次の『』内のことば、
『預かった時の姿のままお返しするのが原則』
ケガをさせるなって意味ですが、これって、ケガをしたけれどもこんな成長が見られましたよっていう「成長した姿」をも否定する意味になりませんかね?
これについて、掛札の答え:今はさすがに聞かなくなってきましたが、5、6年前までは、私がお話しする前のご挨拶の中で「私たちの仕事は『預かった時の姿のまま、お返しすること』です」とおっしゃる先生がそれなりにいました。「ケガはしていいんですよ」という話にひっかけて、よく、「預かった時の姿のまま返して」いたのでは、その子は永遠にハイハイしてますよね、と言ったものです・笑。
(その後の、はまゆげ先生のコメント。11月16日)
地域の保育施設全体で同じ対応を!
入園前の見学、入園前の説明会、入園してからの日々の会話、進級前の説明会…などなどの機会に、保育園でのかみつき・ひっかき・ケガ・活動の価値とリスク・保育士だって人間(時々、保育士はミスなく完璧に子どもを見ることを求める人がいるので。)をしつこく説明しています。
また、しばしば保育士の配置についての現状をも伝えています。地域のどの保育施設でも同じ内容のことを説明することで、とんでもないことを求められるたり、求めることも無くなるんじゃないか?と思っています。
ケガをさせないことを一番に考えているリーダー(法人も)然り。
とまあ、こんなことを地域の集まりで発言するようにしています。
みんなで保育のできる環境を固めていきましょうよ。
いかがですか、みなさん!
これに対する掛札の答え:おっしゃる通りです。地域のみならず、国全体で同じように言えば、社会も少しは変わるかもしれません。実際、内閣府の『ガイドライン』の前書きには、「子どもはケガをするものだ」と書いてあるんですよ(委員全員で「絶対にこの文言は入れろ」と言いました)。国は「子どものケガをなくすことが、事故予防じゃない」とちゃんと言っているんです。
でも、世の中、そう簡単にはいかない。特に最近は、「保護者のために」保育をしている所も多いですから。そうすると、「ケガをさせません」「親の要望になんでもこたえます」的な園が出てきてしまい、これが人気となり、地域で子どもが減ると…と、現状のようになるわけです。「子どもの最善の利益」が単なるお題目でしかない以上、人気を博すのは「親にとって都合のいい園」ばかりとなるわけです。そして、「保護者の最善の利益」は「子どもの最善の利益」と相反することが多々あります…。
★すぎ先生からのお尋ね
保護者の代理として、中学生がきょうだいを迎えにくる、というのは認めてよいのでしょうか? 帰り道、事故があったとき保育所の責任となることがあるのか。中学生になったばかりの4月に認めて大丈夫かなどなど、いろいろ考えると線引が難しいと悩んでいます。
掛札の答え:中学生は未成年、かつ、まだ義務教育下ということを考えると、決してお勧めしません。降園途中でなにかあった時の責任は、先生がおっしゃる通り、不明です(その部分はカットしてあります)。高校生になると考慮の余地もありますが…。
もちろん、「自分(親)がいいと言っているんだから!」と言う保護者もいるとは思います。その会話やメール等はすべて記録、自治体に毎回報告して、自治体からも「保護者か、親族(成人)が来てください」と連絡させてください。園と保護者の間の口約束だけで認めて(自治体は知らず)、事故や事件に巻き込まれた時のリスクは大きいと思います。
★のろのろ先生、コメント、ありがとうございます! 「乳酸菌で99.9%除菌」って…。もう笑うしかありません…。どっちみち目には見えないんだから、「除菌した!」って思えるのは大事…なわけないって。気のせい、気のせい。気のせいできれいになったつもり、でいいわけがありません。クレベリンの件も記事になっていたので、サイトの「最新情報」に載せました。
(のろのろ先生のコメント)
今日の研修で、ノロキラーの質問をさせて頂きました、のろのろです。今日は研修をありがとうございました。先生の研修はとても楽しくてとても役に立つものばかりで、あーあ。そっか。と、納得のいくものばかりでした。特に噴霧しないで!って、驚きで園に持ち帰ってこの事実を伝え、改善していきます。
次亜塩素酸系の延長で、こんなのもでてきました。乳酸菌で菌が99.9%除菌されると…(花王から出ています、ジョアンという商品です)。以前の私なら、「わー! すてきっ!」とだまされていたかもしれません。笑。だまされることなく、きれいなぞうきんで拭いて、拭いて、をすることにします。
★K先生、次亜塩素酸水溶液の件については、詳しく書いた通りです。トップの方は納得なさいましたでしょうか。まあ、「病は気から」と思うのであれば、使ってもいいのかもしれませんが、「最新情報」に掲載したクレベリン同様、「長期的健康リスクは不明」です。
★サボコ先生のお尋ね。
子どもの事故(救急搬送したような事案)の記録の書式のようなものは、サイト内にありますか? 「個人の記憶の記録」は深刻事故対応の書籍にあったのですが、個人の記憶ではなく、出来事としての記録を残しておきたいと思いまして。よろしくお願いいたします。
掛札の答え:ないです〜。それは受診報告書になりますよね、受診・搬送だから。自治体ので十分かと。30日以上とかだと国にも報告しなければならないし、書式をあまり増やさないほうがよいと思います〜。
★にゃんちゅう先生からのお尋ね
今年度から、0歳児が個別保育をしています。来年度は、1歳児の夏まで個別保育で、秋からは集団保育に移行していくそうです。2歳児は、3歳になると養護だけではなく教育も入ってくるので、1歳児の秋からは集団保育に慣らしていかなければいけないと言われました。掛札先生の研修会で、2歳児も個別保育にしているという園の話を聞いたのですが、こども園では教育があるのでできないのでしょうか。
掛札の答え:個別保育…? 担当制のことでしょうか。担当制でも、ゼロ歳の時から集団です。保育者が特定の子どもを「担当」するだけですから。そうすると、ゼロ歳児クラスの後半になれば、子どもたちは担当の保育者(たち)にアタッチメントが成立した上で、集団内において自由に生活するようになります(もちろん、ゼロ歳児クラスの当初の時も、子どもたちを隔離して個別に保育しているわけではありません)。担当した保育者とのつながり(アタッチメント)はその後も切れることはありません(人間も生物ですから)ので、2歳でも3歳でも「〇〇先生!」です。でも、保育としてはまったくの集団です。いかがでしょ?
詳しくは、『育児担当制による乳児保育: 子どもの育ちを支える保育実践』(西村真実)等をご参考に…。
]]>
久々に質問のしかたを書きますね。
1)「コメントを書く、読む」「コメント」ボタンをクリックする(スマホ画面だと下のほうに隠れています)。特定のスレッドに対する質問であればそのスレッドの下の「コメント」ボタンを、スレッドとは無関係な質問であればどのスレッドの「コメント」ボタンでも、…を押してください。
2)名前欄にペンネームを書き、コメント欄にコメント、または質問を書きます。書き終えたら「送信」ボタンを押します。本名を書いていただいても、私はペンネームにしてしまいますのでご了承ください。「送信」ボタンを押しても表示されませんので、ご安心ください。
おまけに、この時期ですから、「餅つき」のスレッドを再掲します。2015年11月9日のものです。
http://blog.daycaresafety.org/?eid=33
]]>
「除菌」「消臭」をうたった清浄機(次亜塩素酸等を使用)や置き型/吊り下げ型の製品が多数、販売され、未就学児施設でも用いられています。並木由美江先生経由で国立感染症研究所の先生に確認したところ、「消毒剤」とされている化学成分の製品以外は、菌やウイルスに対する効果があるとはみなされていないそうです。「除菌」は、「殺菌」でもなければ「消毒」でもありません。また、インフルエンザやノロはウイルスであって、菌ではありません。「除菌・消臭」と銘打った清浄機の広告には、あたかも対ウイルス効果があるかのように書いてあるものもありますが。
(「除菌」に対するイメージはこちら。静岡県環境衛生科学研究所のリーフレット)
(同研究所はいろいろな商品テスト情報のリーフレットを出しています)
つまり、「これは消毒をするものですか?」と聞いて、「そうです。消毒です」という返事が返ってこなかったら、それは厚生労働省レベルでは効果が保証されていないということになります。
1)清浄器や置き型の製品の宣伝には「効果」を示す論文等が示されている場合が多いのですが、こうした研究はほぼ実験室実験であり、実生活中において疾病等のリスクを下げる事実を示す研究ではありません(実生活の中の効果を示すには、多数を対象にした長期実験が必要です)。「効果を信じて」清浄機や置き型の製品を使うこと自体は、問題がないのかもしれません。ですから、掛札も並木先生も「使用してはいけない」とは言っていません。
2)けれども実は、公衆衛生学上は問題があります。塩素系その他の化学物質が空気中にミスト(霧)化されたもの、蒸散されたものを、日常的に、かつ長期的に肺へ吸い込み続けることの危険性は、明らかになっていないからです。こうしたミスト化清浄機や蒸散型の置き型製品が普及し始めたのはここ数年ですから、現状、私たちは未就学施設において人体実験をしていると言うことすらできます。
もちろん、たとえば20年後、一部のおとなの中に呼吸系の問題を抱える人たちが出てきた時、「保育園で吸い込んでいた化学物質がいけないのではないか」と因果関係を言うことは困難でしょう(タバコの健康被害の立証に何十年もかかったことを考えてください)。ですから、今、こうした清浄機や置き型製品を使うことで、園やメーカーが将来、なんらかの責任を問われることはないのかもしれません。ですが、もともと公衆衛生出の者として、掛札はこの健康リスクを念頭に置くべきであろうと思います。
同様の清浄機は歯科医院等に設置されているようですが、医院の待合室は、毎日、長時間、過ごす場所ではありません。一方、園は、まだ発達途上にある子どもが毎日、長時間、過ごす場所です。
ちなみに、夏、効果があるとして使われている吊り下げ型の虫忌避剤については、消費者庁が「表示されている効果を裏付ける科学的根拠が示されていない」としています。商品テストでも、標榜されているような効果は期待できない一方、拡散した成分で体調を崩す場合もあるとしています。
3)上に述べた「除菌・清浄」のための清浄機や置き型の製品については、厚生労働省のレベルでは効果があるとは考えられず、一方、長期的健康リスクも不明です。
しかし、これとは別に明確な点があります。ピューラックスやキッチンハイター(次亜塩素酸ナトリウム)のミスト(霧)化されたものを呼吸器に吸い込むことは、呼吸器に障害をきたす危険性があるため、これらをテーブルや室内、嘔吐物に噴霧するのはやめてください。噴霧は、噴霧した局所にしか効果がなく、一方、そこにある病原体を噴霧によってわざわざ巻き上げてしまうリスクもあるからです(巻き上げるという意味では、アルコールの噴霧も同じです)。
(ピューラックスのサイトにも書いてあります)
では、どうするか。厚生労働省のガイドライン(抜粋)に書いてある通り、次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックスやキッチンハイター)に浸したふきんを絞り、それで拭きましょう。そして、ふきんを消毒しましょう。
]]>
午睡に関して。
1)日替わりの派遣職員が、0歳児をうつ伏せにしてタオルでくるんで寝かせていたそうです。別の職員が、「仰向けで寝かせてください」と声をかけたのですが、「大丈夫です。この方が寝るんで」と言われたそうです。何が大丈夫かさっぱりわからないのですが、これだけ「仰向けで」と言われている中、初めてのクラスでうつ伏せで子どもを寝かせる保育者に驚きました。もちろん、その後、こちらで仰向けにしました。
2)午睡チェックの際は、顔色や呼吸とともに、子どもに触れて異常がないか確認しています。0歳の保育士の配慮に「子どもに触れ」という言葉を入れたところ、「必要あるのか」との意見をもらいました。「お腹の動きを見れば、呼吸をしているかわかる」。「自分は触れることをしていない」と。
近くで呼吸や顔色を確認することに触れて、冷えてないかや熱が高くないかも確認する、そこも含めて「異常がないか」確認するのでは、と話したのですが、腑に落ちていない様子でした。何度も0歳を担任している職員だったので、いままでどうしてきてたんだろう、という疑問もわきました。どう伝えたらよいか、助言をいただきたいです。午睡チェックの仕方をクラス内でも再度確認をして周知ができればと思います。
ーーー
お答えです。
1に関しては、「2016年に内閣府が出した安全のガイドラインに書いてありますから、仰向けにしてください」しかありません。それでも、見ていない時にはうつぶせにしていたりすることがあります。それに気づいたら、「あなたが個人的にどう考えようとかまいませんが、決まりには従ってください。お子さんが亡くなったりした場合、検査すれば上を向いていたか下を向いていたかはわかります。うつぶせで亡くなったら、それはあなたの責任になりますよ」です。
ちなみに、「うつぶせのほうがよく寝ているように見える」理由は、こちら(3−2)に書いてあります。でも、この理屈を説明しても、「このほうがよく寝る」の人たちは変わらない可能性が高いと思います。ですから、「ガイドラインに書いてある決まりです」のほうがはっきりします。「従わないのでしたら、派遣会社さんにお伝えします」でしょう。
2は、先生のおっしゃる通りです。「睡眠チェックは、呼吸をしているかどうかだけを見るものではありません。熱が急に高くなった、逆に低くなった、呼吸が荒いといったことが異常の発見につながることはありますし、早く異常に気づければ気づけるほど、そのお子さんのためになりますから」です。園長が「これは園のルール」と言っているのであれば、「とにかく、これがうちの園のルールです」で終わらせることもできます。
いかがでしょうか? 理屈を言ってもなかなか通じないものです。「子どもの命と、職員の仕事を守るための決まりですから、守ってください」が最もシンプルです。
さて、月子先生、どちらのお尋ねも、どうお返事しようかとけっこう悩みましたが…。2のほうは答えにもなっていません。ぜひ、皆さん、ご意見をください!
1)現場の保育者がいくら掛札の話を聞いても、施設長や保育所を管轄する課の職員が理解していないと、「ケガはダメ」「預かった状態のまま返すのが鉄則」のままで、状況は変わらない。
〔お答え〕
はい、その通りです。ですから今はまず、「新卒や新しい保育士だけを対象にした研修会」は一切、お断りしています。「施設長や主任が聞くようにしてください」「課の人も呼んでください」と言うようにもしています。新しい職員が「そうなんだ…」と思って園に持って帰って、「うちは違う」「危ない」と思っても言えないし、つらくなるだけですから、と。もちろん、実際に肝心な人たちが来るかどうかは別ですし、そもそも安全に興味のない人ほど、「ケガはダメ」「預かったままの姿で…」をおっしゃるので…。掛札なりに努力はしています。まあ、私の話を聞いたからといって、「あんなのきれいごとだ」で終わらせる人はいると思います(←けっこう悲観的)。
掛札がいくらお話をしても、実際には園に持って帰れるわけではない。なので、せっせと文章にしております…。園長や担当課の方が文章を読まない人だと、もうどうしようもないんですが。ケガに関しては、『ぜんほきょう』あたりに書いた文(1−8)であれば、「全保協のニュースレターに載ったものだから」というあたりで説得力が…ないんですよね…きっと(←ずいぶん悲観的)。
2)もうひとつのお尋ね。内容は要点だけにしてあります。
ひとりで歩けるようになった1歳児が、床の上にも何もない、壁も棚も遠い所で、何も持っていない状態で、ただ歩いているだけで一人で転び、やわらかい床シートの敷いてある床に口をぶつけ、口内にケガをしました。これを「不適切な保育」と言われ、とにかくケガのないようにと言われました。「成長の機会を多少奪ってしまっても、とにかくケガをしないことが大切。口の中にケガしてばかりでは、保護者も安心して預けられないでしょう?」と。
もちろん、歩いていたら壁や柵のそばで転んで激突しないよう、オモチャにつまずいて転ばないよう、オモチャを持って歩くことで余計なケガにならないよう、気をつけてはいます。何もない所で歩いている子は、多少距離をとって見守れるからこそ、ある程度は自由に歩かせられるのであり、絶対に、どこでも転ばないようにとなると、職員が2人(子どもは計6人)とも手のあいている時に一度に1人までしか歩かせることができません。ハイハイで顔をぶつけて唇をかんでしまうこともありえるので、ハイハイも制限しなくてはいけません。今、子どもたちは歩くのが何より楽しく、自宅ですら、オモチャより何より歩き回ってニコニコしているとノートに書いてあるような時期です。
それでも、この子たちをひとりで歩かせることは不適切な保育なのでしょうか? 極力危険は取り除いていますが、床すら結果、ケガをしてしまうなら危険というなら本当に何もできないと思ってしまうのですが、それは私がうまく保育できていない未熟な保育士だからなのでしょうか?
〔お答え〕
まぜ返すわけでもなんでもなく、人間が二本足で歩く以上、転ぶんです。おとなだって、もちろん歩き始めの子どもだって。『ぜんほきょう』に書いた通り、転ぶ、つまずくといったできごと自体が悪いわけではないし、二本足でうまく歩けるよう育てていくなら、こうしたできごとが起きないようにするわけにはいかないのです。「成長の機会を多少奪ってでも」というのはその通りで、歩かせなければ歩けるようにはならない(成長の機会を奪っている)、結果、歩けるようになるべき時期に歩くことを学びきれない、それでいいのか、という話ですよね。
これを園長が保護者にきちんと話し、保護者の「家でも、ただただ歩いてニコニコしています」というノートに対し、「そうですよね。転びながら育っていくんですよね」と言えるのが当然なのですが…。それが先生の園ではできない、リーダー自身が「成長の機会を奪ってでも、ケガをさせるな」と言うと。
ごめんなさい、なんと答えようかと考えていたのは事実です。答えの一つが『ぜんほきょう』の内容でもあります。でも、これ以上は何も言えません。言いようがないのです、そのような考え方をするリーダーをどう説得できるか…。
あとは、組合でこの話を挙げてみることでしょうか。「これでは保育士が働けないし、子どもも育たない」と、そちらで問題提起をしてみるというのはいかがでしょうか? 公立だから、異動を待つか…。
皆さん、いかがでしょう? ぜひご意見、ご経験をお聞かせください。これ以上は私にはなんとも言いようがありません…。長時間保育、無償化、配置が少なすぎる、一方、「ケガすらさせるな」。親が子どもともっと時間を過ごせば、「ああ、子どもって転ぶんだ」「どこでも蚊に刺されるものなんだな」とわかるはずなのですが。今の子育てと保育は、悪循環の中にはまりこんでいると思います(←とても悲観的)。
掛札
]]>
ーーー
以前、給食について質問した者です。
先生に教えていただいた情報をもとに市にメールを送りました。「ガイドラインにあるように丸い物は給食に使わないでほしい。保育士が配置基準ギリギリのため安全が保たれていない状態で、窒息の恐れがある食材を使わないでほしい」ことを伝えたのですが、「栄養士の方針としては『よく噛んで食べること』を一つの目標にしているので食材の変更はできません」と言われました…。ガイドラインに沿わない給食を作ることはいいのでしょうか。
栄養士は、どうして、かたくなに丸こんにゃくや白玉や餅を使おうとするのだろうと不信感を持ってしまいました。市へのメールには、先生から教えていただいた「兵庫県のヒヤリハットの資料」をつけたり、「ブドウの窒息事故」の資料をつけたりしましたが理解していただけませんでした…。メールの後、市の担当者との面談も行いましたが、市としては栄養士の言うことなので…という感じで報告を受けました。市が栄養士を指導する立場なのではないかと思いました。
また「大きすぎる食材は保育士にキッチンバサミで切ってもらってください」と言われたのですが、年少20人を1人で見ながら、イカフライや煮物に複数入っている丸こんにゃくを小さく切り刻みながら、子どもたちによく噛むように指導しながら、トイレ補助などを行うことを市は想定しているのだろうかと不安に思いました。
質問は
?学校給食はガイドラインに沿って作らなくても良いのか?
?栄養士の指導を市で指導しなくてもよい立場なのか、です。
市内では昨年度、園児が園舎から1人で出るというヒヤリハットが2件も起こっています。市からは管理職に「職員と自分で探してください」「増員してほしい等の要求が多すぎる」「無理をしてください」などと指導が入っているようです。
市はできるだけ人件費を抑えて、少ない人数で園を運営しようとしているようです。そんな中、一番コストが掛からず、園児の安全を守れるためには給食の内容の変更がいいと思ったのですが、ご理解頂けずとても残念に思っています(園内の事故で多いのが「食う・寝る、水遊び」だと聞いたので)。
来年度から年少(3〜4歳児)クラスに下の子供を通わせるかどうしようか悩み始めました。私に何かほかにできることはあると思われますか? よろしくお願いします。(心配な保護者、9月25日)
ーーー
心配な保護者さん、ご心配は理解してます…。はて、どうしたらいいのやら…。
一瞬、あら?と思ったのですが、その園だけでなく、公立の幼保施設(3歳以上児)の給食すべてを、学校給食と同じメニューで作っているということでしょうか?(まさか3歳児以下は違うと思いたい)。お読みする限り、そのように読めるのですが、それはあり得ないと思います。兵庫県の事例集(「安全」の5−3)をお読みになっておわかりの通り、3歳以上児であっても誤嚥は起きています。それをすべて「よく噛まないで食べたからだ」と子どものせいにするわけにはいかないですよね。まして、未就学児で。
もちろん今でも、「よく噛んで食べるように促したい」から食べ物の規制をしたくないとおっしゃる保育士、幼稚園の先生たちはいらっしゃいます。ガイドラインができる前は「丸のままのミニトマトや白玉団子、こんにゃくのような、つるん、んぐっといくリスクの高い食べ物を使ってまで、噛んで食べることをわざわざ教える必要がありますか?」とお伝えして理解をお願いしてきました(丸こんにゃくはこの種の食べ物です)。ガイドラインができてからは、「丸のままのミニトマトと白玉団子のたぐいのものは、『避けることが望ましい』とガイドラインに書いてあります。つまり、この食べ物で死亡・脳障害が起きたら園の責任だということです」とお伝えしています。ガイドラインに丸こんにゃくは入っていませんが、ご存知の通り、こんにゃくゼリーでさんざん問題になったのがこんにゃくです。丸こんにゃくに限って言えば、死亡・脳障害が起きたら、「またこんにゃく? それも丸こんにゃくを未就学児に?」とマスコミが書くであろうことは間違いがありません(たとえハサミで切っていても)。
でも、「保育園、幼稚園については、内閣府のガイドラインがあり、丸いもの、飲み込む時に詰まりやすいものは避けるよう書かれている」とおっしゃっても、ダメだったのですよね…。このガイドラインは学校給食には適用されませんが、未就学児施設には適用されます。うーん。
ひとつ、現実的なことを書かせていただくと、自治体でメニューを作っている栄養士さんの力はかなり強いようです。そして、実に興味深いことに、担当の栄養士が異動すると、方針がまったく変わることもあるのです。もちろん、事故が起きても、突然、方針は変わります。保育担当課がなにかを言って栄養士の姿勢が変わったという話は聞いたことがありませんが、園長会から栄養士に伝えて、リスクの高い食材をやめたという事例はあります。
心配な保護者さんにできることがあるとすれば、とにかく(入園予定の)園に伝え続けることです。市は動かなくても、園の中にはあなたと同じ心配をしている保育者、幼稚園教諭がいる可能性はあります。私がこれまで書いたこと、サイトに書いてあることをお伝えいただいてもちろんかまいません。「あの人はうるさい」と思われても、お子さんの命には代えられません。大変なことになってから、「言っておけばよかった」と思っても遅いのです。言い続けてください。そして、ひっかかりがあったら、いつでもお尋ねください(返事が遅くなってしまっていますが…。ごめんなさい)。
もうひとつ、「市は『イカフライなどはキッチンばさみで保育士に切ってもらって』と言った」と園に必ず伝えてください。それを言った市の人、面談の日付等は記録してありますよね。おっしゃる通り、園でその人数の給食の刻みをできるわけがありません。でも、「市がそう言った」と園に伝えておかなければ、何か起きた時に「これでよかったんだ」と言われかねませんから。
最後に…。市、ひどいですね。担当課の言葉、市長に伝えていいくらいですよ。「無理してください」なんて、ありえない。今、私たちが「1歳児を3対1に」と言っているような話は、自治体さんとしては「なに、わけのわからないこと言ってるんだ」っていう感じなのでしょう。山中先生たちが言い出した通り、「食う、寝る、水遊び」が一番危険です。特に、「食う(誤嚥窒息)」は、同じ「息ができないできごと」の中でも特に危ない。でも、食べ物自体の加工と食べさせ方で予防できる可能性も高いのです(安全の1−7、または1−8)。
精神的にもおつらいとは思いますが、言い続けてください。なにかありましたら、いつでもおっしゃってくださいませ。
掛札
]]>おむつ替えに「広告紙を使う」という件で、「広告紙なんて汚い」と感じる先生がいるようです。
並木先生に確認したところ、広告紙を推奨してくださったのは、国立感染症研究所の先生だそうです。
]]>